よく日本で一番危険な山ランキングのサイトや動画を見るけど、私がこれまで登山をしてきて一番危険で怖かった山はなんといっても伯耆大山の縦走でした。この縦走は危険すぎるために今では立入禁止になっていますが、別に縦走しても法的に罰せられることはないようです。だからといって安易に縦走するのは危険すぎます。
まずは危険とされるランキングによく紹介されている山と伯耆大山の縦走を比較してみます。
世界一危険な山とされているのは谷川岳だけで、私も一ノ倉沢から登ったことはありますが、それほど危険だとは思いませんでしたし、伯耆大山の縦走の危険性はそれをはるかに上回っていたように思います。
日本百名山で一番危険とされる剱岳も登りましたが、ちゃんと鎖が設置されていましたのでそこまで危険は感じませんでした。
有名な戸隠山の蟻の塔渡りもよく紹介されていますが、たしかに幅が非常に狭くて両側が断崖絶壁になっていたので少し恐怖心はありましたが、伯耆大山の縦走ほどではなかったです。
最後に吊り尾根や大キレットなど北アルプスの縦走ですが、これは高度感があってスリルを味わうことができたもののそこまで恐怖心を感じませんでした。また、ジャンダルムは縦走したことありませんが、稜線を見る限りでは伯耆大山の縦走ほどではないように思いました。
では、伯耆大山の縦走の何が怖くて危険だったかを説明していきます。
一言でいえばホールドポイント、手で持つところがない剃刀のような細尾根の縦走路になっているということです。それにその細尾根はいつ崩れてもおかしくありませんので、滑ってしまったり転んでしまうとと一発で滑落死となります。
私はユートピア避難小屋から剣ヶ峰を経て弥山まで縦走したのですが、最初に怯えてしまったのが天狗ヶ峰を過ぎたあたりから下って次のピークへの登りの間の切れ目でした。この切れ目の間は足の置き場がなかったので飛び越えないといけません。わずかな距離ですが平均台に切れ目があってその間を飛び越えると想像していただければイメージしやすいと思います。もちろんそこで足を踏み外してしまうと一発アウトです。その時点で私は足が震えてしまって立ち止まってしまいましたが、引き返すにも危険でしたから思い切ってそこを飛び越えました。なんとか足を踏み外さずに無事にいられましたが、そこから先も両側が断崖絶壁になっている細尾根歩きが続きました。
話が少しそれますが、先ほど比較した危険な山ランキングでよく紹介されている山はホールドポイントがありますので三点支持を確保していける安心感がありますが、伯耆大山の縦走ではホールドポイントなどありませんし、地面は脆くて杖などで支えることすらできません。
伯耆大山の縦走をした時の話に戻しまして、その他の危険地帯がありましたがなんとか剣ヶ峰まで辿り着くことができました。そこから弥山のピークが見えていたのであともう少しだと思ってホッとしていましたが、本当の危険はそこからだったのです。剣ヶ峰で休憩をした後に弥山のほうへ向かって歩きはじめました。いよいよ弥山のピークへの登りがはじまるんだと思った瞬間に現れたのが、この縦走路で最も危険とされている核心部であるラクダの背です。このラクダの背は以下の写真を見ていただければわかると思いますが、片足を置けるくらいの幅しかありませんし、非常に地面が脆くていつ崩れてもおかしくないのです。それに剣ヶ峰からの縦走の場合、ラクダの背は下りになります。私はこのラクダの背を見て驚愕して足の震えがとまりませんでした。引き返すにも恐ろしいですし、今まで登山してきてはじめて死を覚悟した瞬間でもありました。これほど足が震えていたこともあって、とてもラクダの背を立って通過できないと思ったのでラクダの背に足をまたいで座りながらゆっくり通過していくことにしました。しかし座りながらの下りだったこともあって、落石はすごく滑り落ちそうになってしまいました。なんとか足を前に伸ばしてラクダの背の終わり地点に足を置いて無事に通過することができましたが、改めて振り返ってラクダの背を見た時に再び恐怖心にさいなまれました。そこから弥山の山頂までは意外とあっさり登れました。
弥山の山頂でも足の震えは止まらず、私は二度と伯耆大山の縦走なんてしないと心に決めました。先ほどもいいましたがこれまで登山をしていて本当に命がけで、死を目の当たりしたのはこの伯耆大山の縦走だけでした。
伯耆大山の縦走は山岳技術うんぬんの話ではなく、スリルを楽しむというレベルのものでもありませんし、命がいくつあっても足らないほどの危険度です。それでも自分なら大丈夫だと思って過信したり油断すると大参事を招くと思います。それでも縦走するのであれば本気で死を覚悟しないといけません。







